第16話 秩序第16話 秩序まだ完全に建物の修復が終わっていない古都ブルンネンシュティグ。 大工たちが一生懸命修復をしているが、まだいたるところに戦闘で破壊された建物などの残骸が散乱していた。 そしてある程度修復された建物のある一室に、ロレッタ、アシャー、ラムサス、レヴァルの4人が集まってこれからのことを話していた。 「・・・レッドアイの奴ら、派手に壊していきましたね・・・」 「反撃をしようにも、こんなに被害があっちゃ兵も動かせないしね・・・」 「・・・私たちだけで、攻め込むというのはどうでしょうか?」 アシャーの提案を、とがめるような口調でレヴァルは言う。 「それはやめたほうがいい。敵の戦力もどのぐらいかもわからない今では・・・」 「それなら心配はないぜ、レヴァル。」 ラムサスの言葉に、皆が反応する。 「・・・どういうことだ?ラムサス?」 「ああ」といいながら、ポーチからクシャクシャに丸められた紙をとりだすラムサス。 「・・・今朝、散歩していたらこんなものが落ちてきてな。」 その紙をしわを伸ばしながら丁寧に広げていくと、中にはレッドアイ研究所に今残っている戦力や大まかな地図、さらに例の3人組やファントムがそこにいること。 そして『REDSTONE』のあることなどがかかれていた。 かかれていることに目を通しながら、ロレッタがつぶやく。 「すごい・・・こんな情報、いったい誰が・・・?」 その内容を最初にみたラムサスは、これを書いた人物をしっていた。 最後に「キャロル・クラウン」と名前が書かれていたからだ。 だが、名前がかかれていた部分の紙は、破いてラムサスが所持している。 「・・・これで、奴等のことは丸わかりということか・・・」 その紙をみる限りでは、注意するほどの戦力は保持していないとのことだった。 「・・・よし、今夜に出発する。各自準備を整えるぞ。」 そして、1人1人準備にとりかかっていった。 レッドアイ研究所。 そこの最下層のある一室で、レクルは考えていた。 あのとき、なぜ自分は無理矢理一撃をはずした? なぜあのランサーを身を徹して救った? そして・・・なぜかとても懐かしい気分になるのはなぜだ? ・・・俺は・・・あいつをしっている・・・? それはない、なぜならあのランサーは敵で俺の命を救ってくれたファントム様の障害だからだ。 敵を知っているわけがない。 覚えてなどはいないはずだ、心の中どこを探しても決して何も思い浮かぶことも、思い出すこともないからだ。 俺は、ただのファントム様の手足にすぎない。 ただ命令を聞いて、従うだけの純粋な手下なのだ。 敵に対する情けなどはいらない。 心の中は闇のように漆黒に、そして残忍に染まっていればいいはずだ。 だが・・・なぜだ?・・・一点だけある光が・・・消えない・・・? 昨日のことがあってからは、その光が大きくなった気さえする。 そして、あいつと見つめあっているときに、あいつがつぶやいた『ヴァン』という言葉。 俺はあいつを知らないが、あいつは俺を知っているというのか? 俺が何も思い出せない前は、俺はあいつに『ヴァン』と呼ばれていたのか? ・・・ふざけるな、そんなわけはない。 俺はレクル。レクル・リージェストという人物だ。 それ以外に、何も知らない。知りたくもない。 それなのに・・・この・・・気持ちは何だ・・・? 誰も居ない一室で、レクルは1人悩んでいた。 ジャンル別一覧
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